2月12日(月・休日)に2023年度横浜YMCA会員大会~ピ-スフォーラム~が、湘南とつかYMCAを会場とし、ハイブリットで10時から開催された。 開会礼拝では、古賀会員事業委員長のお祈りにつづき、工藤横浜YMCA理事長の挨拶があった。
次いで、特別講演が行われた。
講師は恵泉女学園大学教授であり、著名な写真家・ノンフィクション作家でもある桃井和馬氏で、演題は「「戦争」・「平和」・「未来」の作り方~ウクライナ戦争からパレスチナ・イスラエル戦争、そして地球環境を考える~」であった。全体は4章からなり、
第1章「未来への教育」では、コンゴ、フィリピン、ハイチなどの惨状が紹介され、マニュアルのない、これからの世界には、自分の頭で考え、自分の足で歩くことができる本物の知恵が重要であり、そのためには教育がもっとも効率的な未来への投資であると話された。
第2章「火に油を注ぐ」では、戦争の原因は「火に油を注ぐ」ことであるとし、土地(領土)・食糧・水・資源のようにお金になるものが「火」で、これに「油」である民族、国家、宗教が注がれることにより戦争が起こるという。第2章の例として、
第3章では「ウクライナとパレスチナ」が取り上げられた。ウクライナには、「火」である食糧・資源・不凍港・地政学的な要衝がある。パレスチナは『旧約聖書』では約束の地であり、カナンと呼ばれた地で「乳と蜜の流れる地」である。パレスチナは人類にとっても、歴史の中の大国にとっても交易の要衝であり、また、水もある。これが「火」である。「油」である民族・国家、宗教は「火」をもとめ、戦争が起こる。「火」は地球環境と密接に関係している。
最終章「世界へ、地球へ、未来へ!」では、16歳の少女グレタさんの国連への訴えが、ビデオで紹介された。また、SDGsで最も大切なのは、ウェディングケーキモデルの環境であるが、いまこそ無限に拡大する人間の欲望を制御する「本物の知恵」が必要な時代を迎えており、私たち大人は若者に何を伝えていくのか、それは「教育」であると主張された。最後に2020年4月のパンデミックの中でAndrea Bocelli氏がミラノのドーモの前で歌ったAmazing Graceが流れされた。合間には、人の姿がほとんどない世界14の都市の映像が流された。まさしく「横浜YMCA会員大会-ピースフォーラム-」にふさわしいご講演であった。
世界140か国以上の紛争地や共生の場を取材し、たくさんの風景をカメラで撮ってきた桃井氏でなければ語れない素晴らしい講演であった。質疑応答の時間があまりなかったが「YMCAに期待することは何か」という質問に「若者を育てることである」という回答が桃井氏からあった。
講演の後、広島ピースキャンプについて、YMCA山手台学童クラブとYMCA東かながわ放課後児童クラブの6人の小学生から平和祈念館などの見学をし、平和について考えたことの報告があった。続いて、ウクライナ・能登半島地震支援報告、YMCA維持会員のご案内があり、最後に佐竹総主事から桃井氏のご講演の感想と感謝の言葉が述べられ、「横浜YMCA-私たちの使命-」を会場の皆さんで交読し、終了した。大変充実したひとときであった。